以前好きだった人がいる。会社の先輩だ。
新人原画時代に師匠として仕事を教えてくれた人で、3・4歳上かな?
その頃の私は仕事でやってる作品が大好き(ファンとして)で、作画監督さん達も憧れの目で見ていた。
先輩はその作品の作監の一人だった。日々研修課題を先輩に見せに行くのだが、
人見知りな私は緊張していつも挙動不審だった。
好きな作品の作監さんなのだから尚更ドキドキだ。
チェックしてもらってる間は先輩の後ろに立って、直してるのを必死に吸収しようと見ていた。
私の描いたものは合っているのだろうか、変じゃないだろうか、それもドキドキした。
「これ、いいね」と褒められたことがある。
緊張しすぎて嬉しすぎて、返事ができなかった。
先輩は不思議そうに「?…これ。いいんじゃない?」て二回言ってくれた。
なんて答えたか覚えてないけど、何か答えたと思う。それくらい緊張していた。
早く仕事がうまくなって、先輩の仕事が少しでも軽くなればと思ってかなり頑張っていた。
新人歓迎会の飲み会に行った時、私は知らない人ばかりの中でどうしていいかわからず、
飲み屋までの道のりを皆から少し離れて歩いていた。
気づいた先輩が話しかけてくれて、嬉しかったのと同時に自分が恥ずかしくて情けなかった。
結局その飲み会ではほとんど黙っていた。
タバコを吸える人は黙っててもタバコ吸ってれば場がもつんだからいいなあとかどうでもいいこと考えていた。
場がもたないから黙ったまま飲んだり食べたりしてたけど、飲み物や食べ物がなくなると詰んだ。
酔っ払いが騒ぐのを聞きながら黙ってた。
「はるかさんは同期の子とかと飲みとか行かないの?いつもそんな静かなの?」と
酔った大御所に聞かれて苦笑いしていた。
こんなアウェーでなくて友達となら普通に楽しみますよそりゃ。
ちなみにその大御所さんとは今は普通にお喋りできます。
つづく。
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